4/12金融庁ホームページに金融審議会・市場ワーキング・グループ報告書で示された「顧客本位の業務運営の進展に向けて」の提言を踏まえ、進展に向けた取組みが公表されています。今後保険代理店の顧客本位の業務運営について、さらなる浸透・定着に向けた取組みの参考としてください。

2017年3月30日、金融庁は、国民の安定的な資産形成の実現に向け、「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下、「本原則」)を公表。
金融事業者の顧客本位の業務運営への取組みを見える化し、より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムを実現するため、本原則を採択し、取組方針等を公表している金融事業者をリストとしてとりまとめ、金融庁ウェブサイトで公表。
2020年12月末時点で、同原則を採択し取組方針を公表した金融事業者は2,098社

しかし、金融庁は、「顧客本位の業務運営」のさらなる浸透・定着に向けた取組みを推進するため、「金融審議会・市場ワーキング・グループ報告書-顧客本位の業務運営の進展に向けて-」(2020年8月5日公表)を踏まえ、2021年1月15日に「顧客本位の業務運営に関する原則」を改訂しています。
本原則を採択する金融事業者は、取組方針に、原則1、以外の原則2~7に示されている内容毎に、実施する場合にはその対応方針を、また、実施しない場合には、その理由や代替策を分かりやすい表現で盛り込み、これに対応した取組状況を明確に示すことを求めています。
また、金融審議会・市場ワーキング・グループの報告書では、金融庁に対して、以下の内容を求めています。
1)本原則の採択事業者のリストを公表する際には、各金融事業者の取組方針やこれに係る取組状況を項目毎に比較できるようにすること
2)金融事業者による好事例と不芳事例を比較分析し、ホームページなどを積極的に活用して、顧客にとって分かりやすい情報発信を行うこと

これらを踏まえ、今回、金融庁は、以下の方策を取ることについて、2021年4月12日に公表しています。Q&Aの内容も含め、ブログにまとめましたので、参考にしてください。

なお、詳細については、金融庁の下記ホームページをご確認ください。
▶︎金融事業者における顧客本位の業務運営のさらなる浸透・定着に向けた取組みについて

1.金融庁への報告
本原則を採択する金融事業者は、取組方針等において、対応方針等と原則2~7との対応関係を明らかにするため、金融庁は、金融事業者に対し、原則2~7に示されている内容毎に、取組方針等における記載内容との対応関係について、紐づけを記載する報告を求めています。
本原則を採択し、対応関係を示した取組方針を公表した金融事業者のうち、金融事業者リストへの掲載を希望する事業者は、新しい報告様式(Excelファイル)に必要事項を記載し、2021年6月30日(水)17:00までに、総合政策局リスク分析総括課へ提出するようになっています。
なお、本報告は、今後も随時、受け付けることになっています。
本原則のうち、実施しない原則がある場合には、取組方針を実施しない理由や代替策を分かりやすい表現で盛り込むとともに、これに対応した形で取組状況を明確に示すことが求められています。
報告は「報告フォーマット(2)」シートにおいて、「実施しない理由」や「代替策を示している項目名・見出し・ページなど」を記載することになっています。
また、金融庁は 公表されている取組方針等が、各原則に対応しており、具体的か、分かりやすいか、といった観点で、金融事業者と確認のため対話する場合があるとなっています。

2.金融庁による金融事業者リストの公表
金融庁は、金融事業者から提出された報告内容について確認等を行い、原則2~7に示されている内容毎に、対応した形で取組方針等を明確に示している金融事業者を順次金融事業者リストに掲載していきます。併せて、金融事業者において、顧客本位の業務運営への取組みを評価し、顧客に対して分かりやすい情報発信のためには、定量的な取組実績(KPI)についても報告を求め、金融事業者リストに掲載することになっています。
また、これまで金融庁へ報告して金融事業者リストに掲載されている場合でも、新たな金融事業者リストへの掲載を希望する場合には、2021年4月より新しい報告様式で再度報告しなければ、金融事業者リストには掲載されません。
(2021年2月26日に公表されている金融事業者リストの更新はされません)
金融事業者リストへの掲載の条件は、原則2~7に示されている内容毎に、対応した形で取組方針等を明確に示していることや取組方針等には、共通KPIや自主的なKPIが盛り込まれていることが必要です。
本原則の報告(2021年6月末〜2022年3月末)で作成される2021年度金融事業者リストには、取組方針のみの公表でも掲載されますが、2022年度以降報告(基準)時点とする報告(2022年6月末以降)では、取組状況も公表していなければ、金融事業者リストへは掲載されません。

3.「顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」の公表
金融庁は、今後、金融事業者の取組方針等の記載内容について、好事例の比較分析を行い、顧客にとって分かりやすい情報発信をしていくとしています。これに先立ち、これまでに金融事業者が公表している取組方針等に基づく金融事業者との対話等を踏まえ、「顧客本意の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」(別紙1)を策定し、公表しています。
同ポイントは、金融事業者における顧客本位の業務運営への取組みの進展や環境変化を踏まえ、必要に応じ随時更新していくことになっています。

4.「取組方針等の記載や金融事業者リストへの掲載等に関するQ&A」の公表
上記1~3の取組みに関し、金融事業者の参考のため、「取組方針等の記載や金融事業者リストへの掲載等に関するQ&A」(別紙2)を公表しています。

 

※ご参考 : 金融審議会・市場ワーキング・グループ報告書「顧客本位の業務運営の進展に向けて」概要(2020年8月5日)