~「代理店業務品質評価制度」の主な取り組み~
日本損害保険協会は、代理店の業務品質を中立的な第三者が公正かつ適正に評価する仕組み(代理店業務品質評価制度)の構築に向けた検討を進め、その運営の手引きとなる「代理店業務品質に関する評価指針」を作成しています。
損害保険業界における中立的な第三者による代理店業務品質評価は、一般社団法人 日本損害保険協会(損保協会)が中心となって設立した第三者機関「代理店業務品質評議会」によって実施される新しい制度です。
2026年度からの本格運用を目指しており、現在はその準備段階にあります。この制度は、保険代理店の業務品質を客観的かつ公正に評価し、顧客本位の業務運営を徹底させることを目的としています。
本制度の主な施策は、以下の2つです。
1.業界共通の評価基準の策定(自己点検チェックの取組み)
業界共通の評価基準に沿った新たな「自己点検チェックの取組み」と損保会社との「対話」を通じて、主体的・継続的な課題の発見と改善に取り組み。
2.中立的な第三者による代理店業務品質評価
損保会社の代理店指導等を補完する仕組みとして、大規模代理店などを対象に、中立的な第三者が、代理店の業務品質が確保されているかを確認・検証。
【評価の具体的な実施方法】
この新しい評価制度は、主に以下のステップで実施される予定です。生命保険業界で先行している同様の制度を参考にしつつ、損害保険の特性に合わせた形となります。
1.評価機関
・名称: 代理店業務品質評議会
・立場: 損保協会が設置した、保険会社や代理店から独立した中立的な第三者機関
・委員: メンバーは弁護士や大学教授、消費生活アドバイザーなど利害関係のない専門家で構成
2.評価の対象
・当初は、特に影響力の大きい大規模な保険代理店が主な対象となる見込みです。
・将来的には、より多くの代理店が対象となる可能性があります。
3.評価のプロセス
評価は、書面調査と実地調査を組み合わせて行われます。
(1)自己点検チェック
・まず、評価対象の代理店が、損保協会が定める業界共通のチェックシートを用いて自己評価を行います。
・これにより、代理店自身が業務品質の現状を把握し、課題を認識することが促されます。
(2)書面調査(オフサイト調査)
・代理店は、自己点検の結果や、業務マニュアル、コンプライアンス関連規程、顧客への説明資料、研修記録などの書類を評議会に提出します。
・評議会はこれらの書類を精査し、業務運営の体制が適切に整備されているかを確認します。
(3)実地調査(オンサイト調査)
・評議会の担当者が代理店のオフィスを訪問します。
・経営陣や従業員へのヒアリングを通じて、規程やマニュアルが形骸化せず、実際に現場で運用されているかを深く確認します。
・例えば、「顧客の意向把握が適切に行われているか」「比較推奨が客観的な基準で実施されているか」「苦情対応のプロセスは機能しているか」といった点を、具体的な事例を交えてチェックします。
(4)評価の決定とフィードバック
・書面調査と実地調査の結果を総合的に分析し、評議会が代理店の業務品質を評価します。
・評価結果は代理店にフィードバックされ、優れた点(グッドプラクティス)と改善が必要な点が具体的に示されます。
4.主な評価項目(評価の観点)
評価基準の詳細は現在整備中ですが、生命保険業界の基準を参考に、主に以下の4つの柱で構成されると考えられています。
1)顧客対応 (募集・アフターフォロー)
・顧客の意向を正確に把握し、記録しているか。
・改正保険業法の「ロ方式」に沿った比較・推奨が適切に行われているか。
・高齢者など、特に配慮が必要な顧客への対応は丁寧か。
・契約後のアフターフォロー体制は整っているか。
2)ガバナンス・経営体制
・経営理念に「顧客本位」が明確に掲げられ、社内に浸透しているか。
・法令遵守(コンプライアンス)体制は確立されているか。
・従業員に対する教育・研修が継続的に行われているか。
・PDCAサイクルを回し、業務品質を継続的に改善する仕組みがあるか。
3)個人情報保護
・個人情報の管理体制は万全か。
・物理的・技術的な安全管理措置が講じられているか。
4)苦情対応・利益相反管理
・顧客からの苦情や相談に迅速かつ真摯に対応する態勢が整備されているか。
・特定の保険会社に偏った販売を行うなど、利益相反のおそれがないか管理されているか。
この評価制度を通じて、消費者にとっては「質の高い、信頼できる代理店」を選びやすくなるというメリットが期待されています。
代理店業務品質評価制度の概要は、下記の動画で解説されており、制度の全体像を理解するのに役立ちます。
・代理店業務品質評価制度について











