先週6月7日(金)に開催されました「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議(第4回)」で論議されました資料が掲載されました。
今後、求められている内容を把握し、自社における顧客本位の業務運営とそのための態勢整備が重要です。
▼資料1-1
損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議報告書(案)
―我が国保険市場の健全な発展に向けてー
《目次》
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.顧客本位の業務運営の徹底
1.大規模代理店に対する指導等の実効性の確保
2.代理店手数料ポイント制度
3.保険会社による保険代理店等への過度の便宜供与等の制限
(1)保険代理店等に対する便宜供与の適正化
(2)保険代理店への出向等の適正化
(3)入庫紹介の適正化
4.乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保
5.保険代理店の兼業と保険金等支払管理部門の独立性確保等
Ⅲ.健全な競争環境の実現
1.競争環境の歪みの是正
(1)共同保険のビジネス慣行の適正化
(2)政策保有株式の縮減及び便宜供与の適正化
2.損害保険会社における態勢の確保
(1)営業推進態勢の確保
(2)保険引受管理態勢の確保
3.企業内代理店のあり方
Ⅳ.その他の論点
1.特別利益の提供の禁止
2.個人の保険契約者に対するリスクマネジメントのインセンティブ付け
3.企業のリスクマネジメント意識の向上
Ⅴ.おわりに
(参考1)保険金不正請求事案で認められた課題
(参考2)損害保険代理店の兼業・専業の別、兼業の場合の業種別データ
(参考3)保険料調整行為事案で認められた課題
(参考4)企業内代理店をめぐる構造
<金融庁HP>
損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議(第4回)議事次第 (fsa.go.jp)
配布資料
資料1 : 損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議報告書(案)、資料集(PDF:2,580KB)
資料2 : 事務局参考資料(PDF:519KB)
※以下、保険代理店に関するポイント
《保険代理店に対するモニタリング強化》
・損害保険会社による保険代理店に対する指導等の状況についても、損害保険会社や保険代理店への立入検査を通じて検証するなど、金融庁及び財務局によるモニタリングを強化すべきである。
《保険代理店に対する第三者評価の創設》
・損害保険会社による保険代理店に対する指導等に対する補完的な枠組みの構築を検討すべきである。
例えば、保険代理店の業務品質を保険代理店と利害関係のない中立的な第三者が一定の基準に基づいて公正かつ適切に評価する業界共通の枠組み(以下「第三者評価」という。 )を設けることを検討すべきである。
また、第三者評価を検討するに際しては、それを実効的に機能させる観点から、以下のような点にも留意する必要があるとの指摘もある。
– 特に、損害保険会社による適切な指導等が行われないおそれのある大規模な保険代理店等に対して有効に機能するような仕組みやそれ以外の保険代理店への指導等においても損害保険会社が活用できる評価基準を検討すること
– 評価基準や項目については、評価される側の保険代理店等の関係者を含めて、十分に検討する必要があること
《代理店手数料ポイント制度》
・保険市場の健全な発展という観点から、保険代理店自身にその業務品質の向上に向けたインセンティブが働く仕組みを設け、消費者からも、保険代理店の業務品質が確認できるような仕組みとする。
損害保険会社においては、代理店手数料ポイント制度について、
– 「規模・増収」に偏ることなく「業務品質」を重視する
– 「業務品質」の具体的な指標について、損害保険会社の事務効率化ではなく、顧客にとってのサービス向上に資するものとする
・第三者評価に係る仕組みにおいて、一定の評価基準が示される場合は、その内容と連動させる
・損害保険会社において業務品質評価割合の考え方を開示することや、保険代理店においても、特に大規模な保険代理店については、損害保険会社別の手数料総額等の開示を行う
《乗合代理店における適切な比較推奨販売》
・乗合代理店における保険募集の実務や募集形態等を踏まえた上で、様々なケースに応じた保険募集が適切に行われるよう、以下の点について検討すべき。
– 保険募集人が、顧客に対して比較推奨を行う場合においては、顧客の意向を踏まえ、顧客の最善の利益を勘案しつつ、顧客にとって最適と考えられるものを比較、又は推奨提案し、比較に係る事項や提案の理由(単に「経営方針」等のみにとどまるのではなく、顧客の立場に立ち、その顧客にとって提案商品が最適と考えた具体的な理由)を分かりやすく説明する
– 保険募集人の提案する保険商品が、どのような商品群から選定された上で提案されているのかなどについて、顧客に対して、例えば、取り扱う保険商品の範囲、募集手数料に関する情報、乗り合っている保険会社のリスト等の情報を提供する
《共同保険》
・従来のビジネス慣行を見直すべきであり、例えば、「シンジケートローン(16・17)」を参考にした方式や各損害保険会社の保険料を統一せずに共同保険を組成する方式にすることが考えられる。
(16)顧客企業が、アレンジャーとの間で保険料・引受限度額等を一定の幅の中で合意しつつ、アレンジャーに対して具体的な共同保険の組成を委託するもの。アレンジャーと参加保険会社との間で秘密保持契約を締結した上で、アレンジャーが参加保険会社に対し顧客企業が承諾した情報のみを提供しつつ、参加保険会社の引受可能なシェアを考慮しながら、各損害保険会社と交渉して共同保険を組成する。また、参加保険会社各社の引受可能シェアの合計が 100%に満たない場合には、アレンジャーは、全体の契約内容条件について、顧客企業と再交渉することもある。
(17)同方式を参考にするにあたっては、アレンジャーの主体、アレンジャーフィーの有無、適正なアレンジャーフィーの設定方法及びアレンジャーが各損害保険会社に対して情報共有する範囲・方法等を検討することが望ましいとの指摘があった。
《企業内代理店のあり方》
・企業内代理店は、企業内代理店の立場を明確化した上で、企業内代理店を介した情報共有に関する適切なルールを策定することが重要である
・企業内代理店の自立を促し、保険会社の役職員が保険代理店の業務代行は、保険代理店としての実務能力の向上を妨げるため解消する必要がある
・損害保険会社による適切な指導・監督によっても、実務能力の向上が図られず、自立も見込めない企業内代理店に対しては、代理店委託の是非を検証する必要がある
・企業内代理店の自立を促す観点からは、特定契約比率規制を見直すことも必要である
以上