株式会社の保険代理店は、登記事項(商号や本店所在地、資本金増額や役員の改選など)の変更登記をしていますか?

例えば、株式会社組織の保険代理店が、取締役の交代による変更登記を10年以上していない場合、法務局は会社法の規定により強制的に会社を「みなし解散」するので、気づかないで保険募集すると無登録募集となり、不祥事件になります。
《ご注意》「みなし解散」となっているにもかかわらず、保険募集を継続し、無登録募集で不祥事件となったケースが発生しています!
特に、法人化して10年以上経過している株式会社組織の保険代理店は、取締役の再任でも登記が必要なので注意してください。

1.「みなし解散」とは?

・ 株式会社は、取締役の任期ごとに、取締役を選任した上で、その登記を行う必要があります。
 取締役の任期は最長でも10年であり、再任の場合でも、重任の登記を行わなければなりません。
・ しかしながら、取締役変更の登記を怠り、最後の登記から12年間登記が無い株式会社は、休眠会社と呼ばれ、会社法に基づき解散したものとみなされ、登記官の職権で「解散」の登記がなされます。
▶︎詳細は、法務省ホームページ「平成29年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」を参照ください。

2.「みなし解散」による影響は?

・ 保険業法では、法人代理店が「解散」したときは、清算人がその旨の届出を行う義務が生じ、かつ「解散」の時点で代理店登録の効力を失うと定められています。
・ したがって、「みなし解散」の場合であっても、「解散」に該当し、代理店登録の効力が失われ、代理店を廃止する必要があります。
 「みなし解散」に気づかないで、無登録募集を続けると、不祥事件となります。

3.「みなし解散」を防ぐためには?

・ 会社法を遵守し、取締役の選任ごとに遅滞なく登記を行い、休眠会社とならないようにする必要があります。(登記を怠った場合、100万円以下の過料の対象になります。)
・ 万が一、休眠会社となっても、「解散」とみなされる前に、官報公告や法務局(登記所)の通知が送付されるため、官報公告から2か月以内に必ず「まだ事業を廃止していない」旨の届出または役員変更等の登記が必要です。なお、登記所からの通知が届かない場合であっても、みなし解散の手続きは進められるので、注意が必要です。

法務局の「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」とは、
最後の登記から12年経過した株式会社は、職権によるみなし解散が行われます。そして、みなし解散の登記から3年経過するとその会社は再び解散前の事業ができなくなります。
ただし、解散をしただけでは会社は消滅せず、清算が結了するまでは存続します(会社法475条1項)ので、株式会社を実質的に消滅させる(法人格を失わせる)には、清算結了登記をする必要があります。

【法務局が職権で休眠会社等の整理作業を行う理由について】
(1)株式会社の場合
取締役の任期は、会社法の規定により、原則として2年、最長でも10年とされており、取締役の交替や重任の場合にはその旨の登記が必要です。
株式会社については、取締役の任期毎(少なくとも10年に一度)に、取締役の変更の登記がされることになります。

(2)一般社団法人及び一般財団法人の場合
理事の任期は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定により、2年とされ、同様に少なくとも2年に一度、理事の変更の登記がされることになります。

したがって、取締役又は理事の変更に限らず、株式会社,一般社団法人又は一般財団法人は、その登記事項(商号や本店所在地、資本金の額や役員の改選など)に変更があった場合には、所定の期間にその変更の登記をすることとされています。

《ご参考》 有限会社にはみなし解散はありません。
この「みなし解散」の規定は、(特例)有限会社には適用されません。株式会社のみの規定です。
→理由は、役員の任期が法定されていないため役員変更(重任)登記を要しないからです。